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へらへらボタン 第3回

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大統領、
「へらへらしている日本人に責任をおしつけて、敵国に核を落とすタイミングいつがいいと思う?」

側近数名、
「いつでもいいっすよー。それよりも俺ら、帰ってミートパイ食いたいっす。」
黒人と白人が口を揃えてミートパイが食べたいというので、大統領もミートパイが食べたくなった。
非常に軽いノリで、敵国に核を落とすボタンを押すタイミングを考えていた大統領だったが、
考えることさえ馬鹿げてきたので、考えることを止めた。

考えることを止めた大統領は、出前のミートパイが届くのをペプシコーラを飲みながら待った。
側近の一人が、夜の生活に悩んでいたので相談にのってやった。

途中で男性器の敏感さについて話が及んだときに、大統領は自分が持っているボタンを睾丸に見立て、
側近に「ここはとても敏感だと思う」とボタン全体をやさしく触りながら、ジェスチャーを交え、
側近に熱弁をふるっていた。

側近が「そこはあまり自分は敏感ではない。個人差があると思う。」と反論したため、
大統領は少しだけ激昂してギュっとボタンを握りしめた。
大統領のあまりの熱弁に側近が少し感動しかけた頃、遠くのほうから、核爆弾が飛んでいく音がした。

大統領と側近は、側近の夜の生活が改善されるよう討議を繰り返していた。
日本人はヘラヘラしながら、ボタンを押し続けていた。

20分後、世界地図から小さい半島が消えてなくなっていた。

--完--

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へらへらボタン 第2回

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1ヶ月後、まだ日本人はヘラヘラとボタンを押し続けていた。
官僚は、ボタンを押しながら、伝手を使ってなんとか不正ができないか画策した。
全員が全員、同じように不正を働こうとするので、ホワイトハウス窓口のメールフォルダに、
「FUCK_Bureaucrat(クソの官僚)」のフォルダが作られ、3分ごとにそのメールは削除された。

教師は、生徒に出し抜かれないように、校内にいる間はボタン探しを禁止した。
生徒は、そんなことで幸せを逃してはいけないので、学校に通うのを止めた。

主婦は、56億分の1の幸運を手にするのは早々にあきらめ、主婦売春に精を出していた。
旦那は、ボタンを探しながら、美人局のカモを探すことにも余念がなかった。

警察は、その権力を使って全ての犯罪者を野に放ち、ボタン探しを始めた。
警察の行動は社会に大きな波紋を投げかけ、警視総監の辞任まで話は膨らんだ。

そして、ホワイトハウスでは、縦4センチ×横2.5センチのボタンを右手で掴みながら、
大統領が周囲の人間に向かって言った。

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へらへらボタン 第1回

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至るところにボタンが転がっていた。

ボタンと言っても、洋服についているタイプではない。
昔の映画やアニメで入院患者さんが、看護師さんを呼ぶときに押すような
渋柿にする市田柿の形状のボタンだ。(ちょうど下手の部分がボタンの押すところになっている。)

なぜ至る所にこんなものが落ちているのか?
それは、3日前にアメリカの戦闘機「F-22 ラプター」が47都道府県の上に1県平均1200台程度現れ、
その平べったい胴の上に、紐でかけていた大きな籠からボタンを撒いたからだ。

一籠に10万個ボタンが入っていたと後々発表されたので、その数、1県に約1億2千万個。
ボタンが縦4センチ×横2.5センチ。

東京の面積が2187.58平方キロメートルだから、
東京の面積の半分以上はボタンで埋まるほどのボタンが各県に投下されたのだ。

ボタンが投下された段階で日本の人口は6千万人まで減った。
しかし、政府は遺憾の意を表明したのみで、あとはいつもどおりヘラヘラしていた。

人口が半分になった日本人は、誰もが家族や親せきや恋人をなくした。
しかしながら、従順な民は政府に反抗の狼煙をあげるでもなく、
TVのインタビューでは文句を言うが、あとはいつもどおりヘラヘラしていた。

そしてアメリカからの臨時放送が全ての民放、国営放送のNHKから流れた。
全てのテレビに臨時放送の文字とアメリカの大統領の姿が映し出されても、
人口が半分になった日本人は、ヘラヘラしていた。

彼は上質な布で作られたであろうスーツを身にまとい、くすんだ赤のような色のネクタイを締めて、
右手を高く頭上に掲げ、一言で叫んだ。

「ある国が国際情勢の観点、国際平和の観点、エコの観点そして私の感情、全てを鑑みても、
これからの国際社会に不要だと思うのだが、我が国のエゴで核爆弾を落とすわけにはいかない。」

「我が国の隷属地である日本の民の力と神の力を借りて、その国にひとつの審判を下そうと思う。」

「今、日本に56億4千万個のボタンを投下した。その中で唯一ひとつだけペンタゴンの核ミサイルスイッチのボタンがある。」
「これから1か月の後までに日本の民がボタンを発見し、速やかにボタンを押すことができれば、これは神の意志としてある国に
核爆弾を落とそうと思う。また、そのボタンを押した人物には、生涯で使い切れぬほどの資産と日本の統治権を渡す。」

「しかし、ボタンが発見されなかったときは、これも神の意志として、その国の存続を許そうと思う。」

それが3日前の出来事。

そして今、ヘラヘラしながら日本人は全員、せっせとボタンを押している。
アメリカへの反抗心などおくびにも出さずに、政治家も風俗嬢も会社経営者もナンバー1ホストも教師もソープ従業員も
フリーターもみんなボタンを押しては捨てて、押しては捨てての行為を繰り返していた。
ダメだったボタンにマジックなどで印(しるし)をつけておけばよいのに、他人にもそれがわかってしまうのは癪だと考える日本人は、誰も印(しるし)はつけずにみんな同じボタンを何度も何度もヘラヘラしながら押していた。

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加速な女

喉元を過ぎたが、まだ熱い。
このうどんは、熱すぎる。

最近、近所の坂の上にできたうどん屋をずっと気にする生活を送り、
漸く訪れることができたわけだが、どうにもここのうどんは熱い。

私の座っているカウンター席から3つ離れた席で、きつねうどんと親子丼を食している
推定年齢30歳、推定体重89キロ、推定職業「ニートに片足つっこんだフリーター」であろう
眼鏡の青年も、額から滝のような汗をかきながら、少しむせてうどんをすすっていた。
離れた席から彼を眺めていると、彼の背中から水蒸気が立ち上っていた。

舌をしこたま火傷した私は、舌の上のヒリヒリを口に含んだ水道水でごまかしながら、
うどん屋を後にした。

帰路の途中ですれ違った20歳前後の女性が、「出る単」の上位100単語を絶叫しながら、
電気自転車で坂を下っていった。
夏休みを持て余した小学生たちがその女性の真似をして「アブソリューーーーート」と言いながら、
友達とじゃれあっていた。

「アブソリューーーーート」と言いながら、坂を下っていた電気自転車の女性は、
坂を下ったタイミングで、重量2.6トンの引っ越しトラックと接触した。

電気自転車を残して、マンガのように女性は
「距離、10メートル40センチ」「角度、40度」で宙を舞った。

宙を舞った女性の着地点に2日後のイベント
「大豆の豆~日本人の底力~」で使用する高さ2メートル、幅2メートル、
奥行き2メートルの巨大な豆腐があった。

女性の頭部全てと右肩が、豆腐に刺さった。
女性は「うぅ」と声を上げたまま2分ほど動かなかった。

私は、思いがけない光景に呆けていたが、
正気に戻ってすぐショルダーバッグの小ポケットから携帯電話を取り出し、「119」と順にプッシュした。
そのとき、女性の右肩がぴくっと動いた。

右肩が動いたと思ったその刹那、女性は何事もなかったのように豆腐から体を抜いた。
豆腐には女性の型が綺麗に残っていた。

髪に付いた少量の豆腐を掃って何事もなかったかのようにその場を立ち去ろうとする彼女に
私は言った。

「あそこに電気自転車忘れてますよ。」

すると、彼女は肩に付いた豆腐を左手で掃いながら私に、「ありがとう」とはにかみながら言った。

後ろで、「大豆の豆~日本人の底力~」実行委員会の田中正治氏(45歳)が、
豆腐の現在の形状に対して、不満を述べ、裁判をも辞さない覚悟を空に向かって叫んでいた。

彼女は電気自転車に颯爽と跨り、「トラディショーーーーーン」と叫びながら、去って行った。

私は見えなくなるまで彼女の白いワンピースの背中部分を凝視していた。

蒸発して加速

それは、処女が公衆の面前で躊躇いもせずに服を脱ぎたいほど暑い夏のことだった。

康太は、愛犬のパトリックを小脇に抱えながら、安楽椅子に腰をかけていた。
安楽椅子の揺れが楽しくて、椅子を1秒間に2往復させていた。

すると、先週貼り替えたばかりのフローリングに30センチ程度の傷がついた。
後にフローリングの貼り替え費用が14万8千円かかることが判明し、母に烈火のごとく怒られ、
恐怖のあまり肌の色が変わってしまい、以後、白人としての人生をスタートさせるのだが、それは後のお話。

康太は13歳。
永遠とも思われる夏休みを満喫していた。

毎日、近くの了方寺で昼までの時間を使って、金象印Y柄ステンレスショベル丸形で、穴を掘り、
昼からはその掘った穴をまた金象印Y柄ステンレスショベル丸形で埋めるというどこかの国では拷問とされていた行為を、ずっと繰り返していたのだが、急に堆肥とヨウリンとカキガラ炭酸カルシウムを撒き、良い土を作り始めた。

そして、作付の2週間前に有機質肥料を敷き、食物の種を撒き、了方寺の食物自給率を急激に高めたのち、火を放った。

康太は燃える火を見ながら、2日後の夜の献立を予想していた。
困難な予想をするときの康太は、無意識に利き手と逆の親指を舐める癖があった。
親指を舐めながら、献立を想像しながら、盗んだバイクで「ながら運転」をしながら走りはじめ、越前ガニの漁にでかけてしまった。
その後の康太の行方は誰も知らないはずだったが、フローリングの貼り替え費用の件で、母が最寄りの警察署に捜索願を出し、6日後に富山で保護された。さらに2日後、康太は白人になった。

了方寺の火の勢いは、留まるところを知らず、了方寺から南西方向にあった新築2年目の沢渡秀雄さん(34歳)の家にも飛び火した。沢渡秀雄さん(34歳)は、マイホームの火事を知らずに帰宅してしまい、一酸化炭素中毒で帰宅後8秒で倒れた。

了方寺から北東方向にあった築32年目の山平太一さん(66歳)の家は、2日前に偶然、
火災保険の本契約を済ませたばかりだったので、燃える我が家を見つめながら、バリアフリーの新しい我が家に夢を馳せた。
その横で嫁の花代(57歳)に向かって木片が爆ぜた。

57歳の花代は思わず着ていた首の回りがダルンとしたTシャツを脱ぎすてた。
ベージュの薄汚れたブラジャーから食み出た肉に汗が滲んでいた。

それは、処女が公衆の面前で躊躇いもせずに服を脱ぎたいほど暑い夏のことだった。

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