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「島」 第一回(全五回)

書き手:イトウ

かなり昔に書いた糞文がフロッピーディスクから少し出てきた話は前に書きました。
自分で読み返してみて「あーなんかこんなん書いた気がする。夢じゃなくて現実での妄想じゃったんか」と当事者にしか分からない妙な感動を覚えています。論理的タイムカプセルです。
基本的に転記するだけなので更新がラクです。

今回転記は「島」という短編。社会人1年目のある日の業務中、あまりに暇なので書いたものだと思います。多分一行ごとに適当に考えながら書きました。
日中、しかも業務中にシラフでこんなものを書いていたと思うと、病名付けられても抗弁しづらいですね。

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

 H島は瀬戸内海に浮かぶ無数の島々の中の一つである。
 そこで漁師を営むA本H男は25歳の時、一旗揚げようと思って単身大阪へ赴き、素早く挫折して田舎へ引っ込んできた男であった。
 挫折した理由は多々あれど、一番の理由は目が痛い、腰が痛い、鼻が痛い、くるぶしが痛い、痛い痛いの”痛いづくし”で、「こんなに痛いんなら島に帰ろう。帰ろう。島には母とS江がおるし。」と独り言を言い言い、帰る決意を固めたのだった。S江とは彼の妹である。

 しかし、彼にはお金がなかった。島へ出ている一日二便の客船の運賃は2600円だったが、それすら払えないばかりか、大手暴力金融数社から多額に渡る借金を作ってしまっていて、唯一の財産である折り畳み自転車をも手放さなくてはいけないかもしれない状況だったのだ。
 もちろん、H男はそんな大借金は踏み倒すつもりだったし、島に逃げればどうにかなると本気で思っていた。そこで思いついたのが島まで泳いで帰るという計画だった。山口県の柳井港から島までは船で2時間。まあ泳いでざっと10時間というところだ。
「イケる。」
 H男は確信した。すぐさま折り畳み自転車で大阪市住吉区を出発し、とばせとばせで翌日には広島と岡山の県境笠岡市まで来ていた。
 そこで予期せぬ事態に陥った。折り畳み自転車が折り畳まったまま、元に戻らなくなってしまったのだった。
 電車賃も無い、食費も尽きてきた。盗みはしたくない。走るしかない。折り畳み自転車を海に放り投げ、H男は走った。
 腹が減ったらそこら辺にある土や発砲スチロールを食べ、邪魔する小学生をヘッドロックで極め電柱に打ち付け溝に押し込め、牛や豚や鶏を無茶苦茶に殴り飛ばし、畑に植えてある収穫期に至ってない大根や人参を根こそぎ引っこ抜いて段ボールに詰めて農家に無断で全国に出荷し、力の続く限り走った・・・。

(続く)
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