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「島」 第二回(全五回)

書き手:イトウ

社会人1年目のある日の業務中、あまりに暇なので書いた糞文「島」を転記する第二回です。
第一回はこちら

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 それから二年が経った・・・。あの激走の途中H男は道を間違え、今は鳥取でホームレスをしていた。
 財産は現金数億円とバットとグローブと硬球が二つだけだった。全国初の野球ホームレスとして、西日本ではそこそこ知名度が出てきていたH男だったが、やはり故郷は愛しかった。
 当時大阪では近鉄バッファローズが名前を近鉄マイマインズに変え隆盛を誇っていたが、そんな事はこの物語をほとんど関係ないのでここでは省略する。

 いきなり話しはズレるが、それから約400前、関ヶ原では東軍西軍が睨み合っていた。

 話しは戻るがH男が山陰本線のガード下でいつもの様に焼き肉を食べていると、目の前に幻覚が現れた。
 それは島に残してきた妹のS江だった・・・。背中に大きな篭をしょっている。ミカン畑に行く時の格好だった。
 そういえば、もうそろそろミカンの収穫の季節だ・・・。S江も今では高校生になっているはずだ。島には高校は無いから毎日船で柳井まで出ているのだろう。もう、中学の頃の様に学校から帰ってきて、母のミカンの収穫を手伝う事は出来ないかもしれない・・・。
「ワシが帰らにゃあのう」
 静かに焼き肉を平らげると、野球ホームレスと今日かぎりで決別する事を誓う意味も込めてバットとグローブと硬球二つを天に向かって放り投げた。
 その硬球の内の一つは思いのほか弾み、帰宅途中のサラリーマン檜田義之(39歳)のポケットの中にスルリと潜り込み、家に帰ってその硬球に気付いた義之は
「なんでポケットに硬球が・・・。これは神の思し召しだ!俺は選ばれたんだ!プロ野球選手を目指すぞー!」
 と叫び、次の日には会社に辞表を出し、日夜特訓に励んだがちっとも芽が出ず、代わりにがんばりすぎて目が出て、担架を拒否しヨロヨロと救急車まで歩いて行こうとする気概を見せたが辿り着けず、結局担架のお世話になり、貯金は尽き果て、長男は餓死し、女房は鳥取発戦場行の高速バスに乗ってしまい、一家は崩壊した。
 当の義之はそれでもまだプロ球界に執着し、入院先の病棟の窓から煉瓦を落としているのを婦長に見つかって消化器で殴られた。

(続く)

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